お疲れ様です。
はるさらと申します。
最近、IT業界では「アジャイル開発」
という言葉を耳にする機会が増えてきました。
「短いスパンで開発を回す」「柔軟に要件変更に対応する」といった特徴があり、
特にスピード感が求められるWeb系や
スタートアップを中心に広まりを見せています。
従来からよく使われてきた「ウォーターフォール開発」とは、
考え方も進め方も大きく異なるため、
現場で混乱することも少なくありません。
「そもそもアジャイル開発って何?」
「ウォーターフォールと何が違うの?」
そんな疑問を持つ方向けに、
この記事では以下のポイントをわかりやすく解説していきます。
- アジャイル開発とはどういう開発手法か
- ウォーターフォール開発との違い
- それぞれのメリット・デメリット
- 現場での使い分け方や注意点
これからアジャイル開発を導入しようとしている方や、
開発手法の選び方で悩んでいる方にとって、
少しでも参考になれば幸いです。
アジャイル開発とは?

まずアジャイル開発について
特徴をまとめていきます。
柔軟性とスピードを重視した開発スタイル
アジャイル開発とは、「小さく作って、素早く改善していく」ことを
重視した開発手法です。
開発全体を細かい単位(スプリント)に分け、
少しずつ機能を実装・リリースしていくのが特徴です。
以下のような考え方が基本となっています:
- 計画よりも変化への対応を優先
- 文書よりも実際に動くソフトウェアを重視
- 契約よりも顧客との対話を大事にする
現場でよく使われるアジャイルの手法
アジャイル開発にはいくつかの具体的なフレームワークがあります。
よく使われるのは次の2つです。
- スクラム:
2週間ごとなどの「スプリント」と呼ばれる
短い期間で開発を進めていきます。
毎日15分程度の朝会(デイリースクラム)を行い、
進捗や課題を共有します。 - カンバン:
タスクを「見える化」して管理する方法です。
「ToDo」「進行中」「完了」といったボードを使い、
作業の流れを視覚的に把握できます。
タスク管理のツールの一例として
Trello、Jira、Backlog等が用いられます。
アジャイル開発の進め方の一例(要件→リリースまで)
▼ ① ヒアリング・要件整理(スプリント前)
▷ やること:
- クライアントや関係者と目的・ゴールを確認
- 大まかな要望や課題をヒアリング
- 機能一覧をざっくりでいいので洗い出す
- 優先度(MVP:最小限の実装)を決める
ポイント:
アジャイルでは要件を完璧に固めてから進めない。
まずは「どの機能から手を付けるか?」を明確にし、実装と並行して調整していく。
▼ ② バックログ作成(やることリスト化)
▷ やること:
- 必要な機能・改善案などを「プロダクトバックログ」に登録
- 各項目に**優先度(高・中・低)**をつける
- 見積もり(1タスクにかかる日数)をチームで検討(※ざっくりでOK)
ツール例:
- Trello / Jira / GitHub Projects / Notion など
▼ ③ スプリント計画(1〜2週間単位の計画)
▷ やること:
- 今回のスプリントで対応するタスクを選定
- タスクを細分化し、担当者・順番を明確に
- 「このスプリントのゴール(完成の基準)」をチームで共有
▼ ④ 実装(スプリント中)
▷ やること:
- チームメンバーがタスクに沿って開発を進める
- 毎朝「デイリースクラム(朝会)」で進捗を共有
- 昨日やったこと
- 今日やること
- 困っていること
- 不明点・仕様変更があれば随時チーム内で確認
ポイント:
- プロトタイプでもいいから動くものを出すことを意識
- コードレビューやテストも並行して行う
▼ ⑤ スプリントレビュー(成果物の確認)
▷ やること:
- スプリントの最後に「実際に動くプロダクト」を共有
- 関係者からのフィードバックをもらう
- 次スプリントへの改善点や課題を抽出
▼ ⑥ スプリントふりかえり(チーム改善)
▷ やること:
- スプリントの進め方について話し合う
- 「うまくいったこと/うまくいかなかったこと」を共有
- 次回から改善したいポイントを具体化
例:
- タスク分解が甘かった → 次回はもっと小さく切る
- 話し合いが長い → 時間制限を設ける
▼ ⑦ リリース(小さな単位で公開)
▷ やること:
- MVP(最小限の価値)を持った機能をまずは公開
- 本番環境で動作確認、ユーザーからの反応を見る
- 必要に応じて修正 → 次スプリントで対応
ポイント:
- 最初からすべて作り込まず、**「出してから育てる」**という考え方
ウォーターフォール開発とは?
次に、ウォーターフォール開発についても記載していきます。
ご存じの方はおさらい位に見ていただければと思います。
一方向に進む「順序型」開発
ウォーターフォール開発は、
開発工程を「上流から下流へ」段階的に進めるスタイルです。
名前の通り、水が上から下へ流れるように、
工程が一方通行で進んでいきます。
一般的な開発フローは以下の通りです:
- 要件定義
- 設計
- 実装
- テスト
- 納品(リリース)
各工程で成果物(ドキュメント)を作成し、
次の工程へ引き継いでいきます。
特徴としては
- 要件を最初に固める
- 計画通りに進める
- ドキュメント重視
といった点が挙げられます。
アジャイル開発とウォーターフォール開発の違い
比較項目 | アジャイル開発 | ウォーターフォール開発 |
---|---|---|
開発の進め方 | 短いサイクルで反復的に進める | 各工程を順番に進める |
要件の扱い | 途中で変更があっても柔軟に対応 | 最初に要件を確定し、途中変更は困難 |
コミュニケーション | 顧客との対話を重視 | ドキュメントによる伝達が中心 |
成果物の確認 | 少しずつ動くものを見せてフィードバック | 完成するまで動くものは見えないことが多い |
向いているプロジェクト | 変化が多い、短納期、小規模な案件など | 要件が明確、大規模、長期的な案件 |
それぞれのメリット・デメリット

アジャイル開発のメリット
- 要件変更に柔軟に対応できる
- 早期に動くものが確認できる
- ユーザーや顧客と近い距離で開発できる
アジャイル開発のデメリット
- ドキュメントが少なめになりがち
- 統率が取れていないと開発が迷走することも
- 経験が浅いチームだと形骸化する恐れあり
ウォーターフォール開発のメリット
- 計画通りに進めやすい
- ドキュメントがしっかり残る
- チーム外の人にも全体像が見えやすい
ウォーターフォール開発のデメリット
- 要件変更に弱い
- 開発途中で顧客が成果を確認できない
- リリースまでに時間がかかることも
どちらを選ぶべきか?使い分けのポイント
それぞれの開発手法には向き不向きがあります。
プロジェクトの状況やチームの成熟度、
顧客の関わり方などによって適切な手法を選ぶことが大切です。
アジャイルが向いている場面
- 要件が変わりやすい
- 顧客と頻繁にやり取りできる
- スピード感を重視したい
ウォーターフォールが向いている場面
- 要件が明確で変更が少ない
- 多人数で役割分担が明確なプロジェクト
- 法制度や契約上、仕様の確定が必要な場合
ハイブリッド型という選択肢も
最近では、設計まではウォーターフォール、
実装からアジャイルというハイブリッド型も増えています。
現実的な選択として、現場に合った柔軟な使い分けが求められるようになっています。
アジャイル開発の現場でよくある悩みと対処法

1. 「アジャイルやってるつもりだけど、結局ウォーターフォールっぽくなっている」
よくある原因
- 要件が最初にガチガチに固まっている
- スプリントごとに成果物を出していない
- 顧客との対話より資料づくりが優先されている
対処法
- スプリント単位で「動くプロダクト」を出すことを意識
(ユーザーが実際に操作できる最低限の動作をする機能(=プロトタイプや簡易版)) - 最初から全部決めず、機能を段階的に追加していく
- 顧客との定期的なレビューを設け、方向性を調整しながら進める
2. 「顧客がアジャイルに慣れておらず、毎回レビューで混乱が起きる」
よくある原因
- 顧客が「仕様は最初にすべて決めるもの」と思っている
- レビューで毎回仕様変更が出て、開発側が振り回される
対処法
- プロジェクト開始時に「アジャイル開発とは」を説明する時間を取る
- 「小さな失敗を早めに見つけて軌道修正するのが目的」と共有する
- レビューのたびに「今回の目的」「どこまで完成しているか」を整理して伝える
3. 「チーム内でアジャイルの理解度にバラつきがあり、足並みが揃わない」
よくある原因
- アジャイルの概念があいまいなまま開発が始まってしまった
- スクラムイベント(朝会、ふりかえりなど)が形式的になっている
対処法
- スクラムマスター役を決め、運営・ファシリテートを強化
(参加者の意見を引き出すことが重要) - 定期的に「ふりかえり」の場で進め方そのものを改善
- 必要に応じて勉強会・社内研修などで共通理解を深める
4. 「タスクが細かく分割されず、チケットが巨大化して消化できない」
よくある原因
- タスクを“実装者目線”で細かく分解していない
- チケット単位で完了の定義(Definition of Done)が曖昧
対処法
- スプリント開始前にチケットの粒度を調整(1〜2日で終わる規模に)
- 「着手したが終わらない」が続く場合は、ふりかえりで改善方針を話し合う
- 大きすぎるタスクは「ストーリー分割」や「タスク分割」で整理
5. 「カンバンボードが放置され、ただの壁紙になっている」
よくある原因
- カードの更新が手間になっている
- 作業状況が口頭やチャットで済んでしまっている
対処法
- 朝会や進捗確認の場で、必ずボードを画面共有・表示するようにする
- 運用ルールを最小限にして、更新しやすくする(例:必須項目を絞る)
- 状況に応じてツールを変える(Trello → Backlog など)
6. 「ウォーターフォールで進めていたが、途中で顧客から機能追加の要望が…」
よくある原因
- 要件凍結のタイミングがあいまい
- 仕様変更のリスクと影響が十分に共有されていない
対処法
- 「変更管理プロセス」をあらかじめ定めておく
- 工数と納期への影響を明確に伝え、合意を取る
- 臨機応変に部分的にアジャイル方式を取り入れる(例:追加分だけ反復開発)
まとめ
アジャイルとウォーターフォール、それぞれに強みと弱みがあります。
どちらが「優れている」かではなく、
状況に応じてどう使い分けるかが重要です。
- 要件が固まっていればウォーターフォール
- 柔軟に対応したいならアジャイル
- 両方のいいとこ取りを狙うならハイブリッド型も検討
現場で使う手法は、目的や環境に合わせて選ぶのが一番です。
どなたかのお役に立てば幸いです。
それではまたー!!