コードレビューは、自分のコードを第三者にチェックしてもらうことで、
品質向上やバグの早期発見に繋がる重要なプロセスです。
しかし、特にプログラミング初心者や新人の方は、
「初めてのソースレビュー、こんなソースを出してよいのか?」
といった不安であったり、
「レビュー前にどのようなことを確認すればよいのか」
が曖昧であることが多いです。
本記事では、コードレビューをスムーズに進めるために
押さえておきたいポイントを深掘りし、
具体的なコード例と実践的なアドバイスを提供します。
1. コーディング規約に従っているか
なぜ重要?
コーディング規約は、
チーム全体でコードの書き方を統一するためのルールです。
これを守ることで、コードの可読性やメンテナンス性が向上します。
現場でコーディング規約の資料が用意されている場合は
作業を始める前に目を通すのは当然ですが
レビュー前にも再度読み返してみるようにしましょう。
具体例:命名規則
- クラス名は大文字始まりのCamelCase形式:
CustomerOrder
- メソッド名は小文字始まりのCamelCase形式:
calculateTotalAmount()
- 定数はすべて大文字でアンダースコア区切り:
MAX_RETRY_COUNT
// 良い例
public class CustomerOrder {
private int orderId;
public int getOrderId() {
return orderId;
}
public void setOrderId(int orderId) {
this.orderId = orderId;
}
}
補足
コーディング規約を守るために、
IDEのプラグイン(例: Checkstyle)や
Lintツールを活用することで
可読性の高いコードを作成することが出来ます。
2. 変数名・メソッド名がわかりやすいか
なぜ重要?
変数やメソッド名が役割を正確に伝えることで、
コードの意図が明確になります。
曖昧な名前や略語は避け、
具体的で意味のある名前を付けましょう。
悪い例と改善例
// 悪い例
int x = 100;
int y = x * 2;
// 改善例
int basePrice = 100;
int totalPrice = basePrice * 2;
命名のコツ
- 動詞+名詞の組み合わせ(例:
calculateDiscountPrice()
)をメソッド名に使う。 - 単語の略語や短縮形を避ける(例:
temp
→temporaryFile
)。
3. コメントが適切か
なぜ重要?
コメントはコードを補足するためのものですが、
冗長すぎるコメントやコードそのものを
説明するコメントはかえって邪魔になります。
「なぜそのコードが必要なのか」を
説明することを意識しましょう。
例:良いコメント
// 割引後の価格を計算するためのロジック
double discountedPrice = calculateDiscount(price, discountRate);
ドキュメンテーションコメント
ドキュメント化のための
コメント(Javadoc)も活用しましょう。
/**
* 割引後の価格を計算する
* @param price 商品の元の価格
* @param discountRate 割引率
* @return 割引後の価格
*/
public double calculateDiscount(double price, double discountRate) {
return price * (1 - discountRate);
}
4. 重複コードを排除しているか
なぜ重要?
重複したコードは、メンテナンスが難しくなるだけでなく、
エラーが発生しやすくなります。
共通処理をメソッド化することで再利用性を高めましょう。
改善例:メソッド化
// 悪い例
int area1 = width1 * height1;
int area2 = width2 * height2;
// 良い例
private int calculateArea(int width, int height) {
return width * height;
}
int area1 = calculateArea(width1, height1);
int area2 = calculateArea(width2, height2);
5. エラーハンドリングが適切か
なぜ重要?
予期しないエラーが発生した場合に備えるため、
例外処理を適切に実装することは必須です。
これにより、システムの安定性が向上します。
特に設計やコーディング中には
エラー時の処理についての意識が
抜けてしまいがちの為
予期せぬことが起きた時にどういった処理を行うのか
明確にしておく必要があります。
例外処理の例
try {
int result = divideNumbers(10, 0);
} catch (ArithmeticException e) {
System.out.println("エラー: ゼロで割ることはできません。");
}
補足
すべての例外をキャッチするのではなく、
特定の例外(例: IOException
やNullPointerException
)を
明示的に扱うようにしましょう。
6. パフォーマンスを意識しているか
なぜ重要?
効率的なコードを書くことで、
アプリケーションの応答性が向上します。
例えば、データ検索にリストを使う場合、
サイズが大きくなるとパフォーマンスに影響を与えます。
例:効率的なデータ構造の選択
- ArrayList: 順次アクセスに適している
- HashMap: キーと値のペアでの高速な検索に適している
7. その他
残りはまとめて記載してしまいます。
・動作の確認は行っているか
作成したソースを実行できる環境が整っているのであれば
動作確認もかねて実行してみましょう。
動かしてみることで自分でバグ等を事前に見つけることが出来ます。
・不要なコードが残っていないか
不要なコードが残っていると、
後でバグを引き起こす可能性があります。
リファクタリングを行い、コードを整理しましょう。
リファクタリングとは
ソフトウェア開発において、
プログラムの動作を保ったままソースコードを改善する作業
・テストコードが書かれているか
動作の確認の話と似た内容になりますが
テストコードはバグの早期発見に役立ちます。
JUnitを使って、各メソッドの動作を確認しましょう。
・外部ライブラリの利用が適切か
外部ライブラリは開発効率を向上させますが、
適切に選定しないと、コードの保守性が低下することがあります。
・自分以外の人でも理解できるか
他のメンバーが理解できるコードを書くことは、
チーム開発の基本です。
コードレビューでは、第三者視点でコードを読み直してみましょう。
まとめ
コードレビューは、単なるエラーの発見や修正の場ではなく、
チーム全体のスキル向上やコードの品質を高めるための重要なプロセスです。
本記事で紹介したポイントは、
初心者の方でも実践できる基本的な見直し項目となっています。
- コーディング規約の順守や適切な命名で、可読性を向上させる
- コメントやエラーハンドリングを工夫し、意図が伝わるコードを書く
- 重複コードの排除やパフォーマンスの意識で、メンテナンス性を高める
レビューを提出する前にこれらをしっかり確認すれば、
フィードバックの質が上がり、
よりスムーズな開発が可能になります。
初心者のうちは、レビューを受けるのがプレッシャーに感じることもありますが、
レビューは成長のチャンスです。
積極的に学び、質の高いコードを書ける
エンジニアを目指していきましょう!