お疲れ様です。はるさらと申します。
2026年1月現在、社長や役員を語った詐欺メールが横行しています。
仕事中に突然、社長や役員から「至急対応してほしい」というメールが届いたら、
経験の浅い方であればあるほど「すぐに対応しなければ」と焦ってしまうものです。
しかし、そのメールが実はあなたや会社を狙った巧妙な詐欺だったとしたらどうでしょうか。
近年、組織のトップになりすまして
金銭や情報を奪い取る「ビジネスメール詐欺(BEC)」が急増しており、
2025年後半から日本国内でも大きな被害が報告されています。
今回は、社長を装う詐欺メールの手口や見分け方、
そして被害を防ぐための具体的な対策を、
経験の浅い方でもすぐに実践できるサンプル付きで詳しく解説します。
社長を装う「ビジネスメール詐欺(BEC)」の正体とは
まずは、私たちが直面している脅威がどのようなものなのか、
その全体像を正しく理解しましょう。
結論からお伝えすると、社長や役員の名を語るメールの多くは、
組織の従業員を騙して多額の現金を振り込ませたり、
重要な機密情報を盗み出したりすることを目的とした
「ビジネスメール詐欺(BEC:Business Email Compromise)」と呼ばれる犯罪です。
なぜこれほどまでに被害が広がっているのかというと、
犯人が「心理的な隙」を突くのが非常に上手いからです。
社長という逆らいにくい立場を利用し、
さらに「緊急性」というスパイスを加えることで、
受信者に冷静な判断をさせないように仕向けます。
かつての迷惑メールといえば、
日本語が不自然で一目で怪しいとわかるものが大半でした。
しかし現在の詐欺メールは、実在する社長の本名を使い、
社内の人間しか知り得ないような部署名を挙げるなど、
非常に巧妙に作り込まれています。
これらの情報は企業のホームページに載っている情報を参考に、
迷惑メールを作成しているといわれています。
巧妙な詐欺メールに見られる共通の特徴と手口
詐欺メールには、いくつか共通のパターンが存在します。
これらを知っておくだけで、怪しいメールを未然に察知する確率が格段に上がります。
LINEへの誘導やQRコードの送付
最近、特に日本国内で急増しているのが、メールからLINEへと誘導する手口です。
「新しいプロジェクト用のLINEグループを作るから、
このQRコードから参加してほしい」といった内容で、
社外のチャットツールに引き込もうとします。
これは、会社の管理が届かないクローズドな環境で指示を出すことで、
周囲の目をごまかし、詐欺を完遂させやすくするためといわれています。
一度LINEで繋がってしまうと、
犯人は親密な口調で「実は極秘の商談があって」と具体的な金銭の要求を始めます。
「至急」「他言無用」といった心理的な揺さぶり
詐欺師が最も好んで使う言葉が
「至急」「本日中」「誰にも言わないで」というフレーズです。
人間は急かされると、普段なら気づくはずの違和感を見逃してしまいます。
また「極秘事項」と言われることで、他の同僚や上司に相談することを
封じられてしまうのです。
「社長から自分だけに頼まれた重要な仕事だ」という責任感や期待を逆手に取った、
非常に悪質な手法といえます。
送信元アドレスの偽装と不自然な日本語
メールの差出人名には確かに社長の名前が表示されていますが、
メールアドレスをよく確認してみてください。
会社のドメイン(@company.co.jpなど)ではなく、
OutlookやGmailといったフリーメールアドレス、
あるいは一文字だけ違う似たようなドメインが使われているケースがほとんどです。
また、文章の中に「群組(グループの意味)」や「公司(会社の意味)」といった、
中国語由来の表現が混ざっていることもあります。
生成AIや翻訳ソフトの進化により自然な日本語が増えていますが、
こうした細かな違和感が決定的な証拠となります。
実際の被害の例
詳細な企業名や金額などは伏せますが、
以下のような被害が報告されています。
- 北海道札幌市の企業: 約8,000万円。
社長を名乗る人物から「業務で大金が必要だ」と指示を受けた社員が振り込みを行いました。 - 北海道函館市の企業: 約4,980万円。
親会社の社長を名乗るメールからLINEへ誘導され、送金指示に従ってしまいました。 - 東京都内の組織(4件): 合計で1億4,000万円。
複数の組織が同様の手口で被害に遭っています。 - 長野県飯田市の企業: 2,950万円。
経理担当者が社長名のメールを信じ込み、指示通りに現金を送金しました。 - 山形県の観光物産協会: 2,300万円。
非営利の団体も標的となっています。 - 新潟県十日町市の開発会社: 1,900万円。
ビジネスメール詐欺の手口により現金を詐取されました。 - 三重県いなべ市の企業: 約1,000万円。
経営者になりすましたメールにより従業員が騙されました。
被害に遭った、あるいは注意喚起を行っている組織には
以下のような共通点があります。
地方自治体や外郭団体: 市長や村長を騙るメールが市役所・村役場に届いたり、
地域の観光協会が狙われたりしています。
中堅・中小企業: 少人数で経理・総務を回しており、
「社長からの急ぎの指示」に迅速に対応しようとする心理が突かれています。
金融機関: 銀行の役員や元役員になりすましたメールが確認されており、
組織の信頼性が悪用されています。
セキュリティ専門企業: 詐欺対策を行っている企業であっても、
巧妙なやり取りで接触を試みられる事例が発生しています。
(このケースでは未遂に終わっています)。
実際に届く詐欺メールの具体例
ここでは、実際に出回っている詐欺メールをベースにしたサンプルを紹介します。
もしこのようなメールが届いたら、まずは手を止めてください。
サンプル1:LINEグループへの招待を装うケース
件名:【至急】業務連絡:プロジェクト共有について
〇〇さん、お疲れ様です。社長の△△です。
現在、一部の役員のみで進めている極秘の新規プロジェクトがあります。
本件の進捗管理と連絡のために、専用のLINEグループを作成しました。
つきましては、以下のQRコードをスキャンしてグループに参加し、
挨拶を済ませておいてください。このプロジェクトはまだ社内の他の方には伏せておきたい内容ですので、
口外しないようお願いします。詳細はLINEでお伝えします。
【QRコード】
△△(社長の氏名)
サンプル2:緊急の振込を指示するケース(経理・財務担当者向け)
件名:【至急】未払金の至急送金依頼について
〇〇さん、外出中につきメールで失礼します。
以前から進めていた海外案件で、
手違いにより本日中に決済が必要な支払いが発生しました。相手先との契約維持のため、
今すぐ以下の口座へ8,500,000円を振り込んでいただけますか。社内手続きは私が戻り次第、事後承認で処理します。
相手先の担当者名義の口座になりますが、商慣習上問題ありません。
極めて急を要します。完了したら至急報告してください。
サンプル3:不自然な日本語とファイル確認を求めるケース
件名:【至急】指示事項の確認について
〇〇さん
お疲れ様です。△△(社長名)です。本日の午後の業務について、至急対応してもらいたい事項があります。
内容については、セキュリティの関係で別添の画像ファイルに記載しました。
詳細はそちらを確認し、すぐに「群組」を作成して報告してください。
外出先で電話に出られないため、確認後はメールではなく画像内の指示に従ってください。【[添付ファイル:指示書.jpg]】
△△(社長の氏名)
サンプル4:経理担当者を狙った「情報の搾取」から始まるケース
件名:【極秘】至急:現在の口座残高の確認について
〇〇さん(経理担当者名)
お疲れ様です。△△です。
現在、他社との極秘の買収交渉を進めており、
本日中に決済資金の裏付けが必要になりました。至急で構いませんので、
現在の主要取引銀行の口座残高一覧をExcelで送ってもらえますか。この件は取締役会でもまだ公開していない内容ですので、
他の従業員には一切他言無用でお願いします。リストを受け取り次第、次の送金指示を出します。
会社の将来に関わる重要な局面です。迅速な対応を期待しています。
△△(社長の氏名)
いかがでしょうか。どちらも「社長からの直接の指示」という重みと
「緊急性」が強調されています。
しかし、これらはすべて実在した被害事例に基づいた偽のメールです。
万が一騙されてしまったら?被害の流れとリスク
もし、これらのメールの指示に従ってしまった場合、
どのようなことが起きるのでしょうか。
まず、LINEグループに参加すると、言葉巧みに信頼を勝ち取られた後、
従業員名簿や口座残高の情報をExcelで送るよう要求されます。
犯人はそれらの情報をもとに、さらに攻撃を精緻化させます。
最終的な目的は「金銭の詐取」です。「商談で急ぎの資金が必要になった」
「立て替えておいてほしい」といった嘘で、
第三者名義の口座へ数百万円から、場合によっては数千万円単位の振込を指示されます。
実際に、1,000万円から8,000万円という莫大な被害に遭った企業も存在します。
一度振り込んでしまったお金を取り戻すのは極めて困難であり、
会社にとって大きな損失となるだけでなく、
対応した従業員の方にとっても大きな精神的ダメージとなります。
会社を守るために今日からできる具体的な対策
詐欺メールは技術的に100パーセント防ぐことはできません。
だからこそ、届いた後の「運用ルール」で身を守ることが重要です。
別の手段で本人確認を行う(ダブルチェック)
最も効果的で確実な方法は、
メール以外の手段で本人に確認を取ることです。
指示がメールで届いたのであれば、電話をかける、
社内の正規チャットツール(SlackやTeamsなど)で連絡する、
あるいは直接対面で確認してください。
「社長、先ほどのメールの件ですが……」と一本電話を入れるだけで、
詐欺の被害は防げます。
このとき、メールに記載されている連絡先に連絡してはいけません。
必ず社内の連絡簿にある正規の連絡先を使用してください。
社内の運用ルールを見直す
会社全体として「あり得ない指示」を定義しておくことも大切です。
例えば、「社長が直接、特定の社員にLINEグループ作成を指示することはない」
「多額の振込をメール一本で、かつ正規の手続きを飛ばして行うことはない」といった
共通認識をチーム内で持っておきましょう。
以下に、不審なメールをチェックするための簡易リストを作成しました。
| チェック項目 | 内容 |
| 送信元アドレス | 社内の正規ドメインと一致しているか? |
| 緊急性の強調 | 「今すぐ」「至急」と過度に急かされていないか? |
| 秘匿性の強要 | 「誰にも言うな」と相談を阻害されていないか? |
| 連絡手段 | LINEやフリーメールなど、不自然な誘導はないか? |
| 日本語の違和感 | 日本では使わない漢字や表現が混ざっていないか? |
多要素認証(MFA)の導入
犯人が社長のメールアカウント自体を乗っ取っているケースも稀にあります。
これを防ぐには、ログイン時にパスワードだけでなく、
スマホの認証アプリやSMSなどを使った「多要素認証」を設定することが不可欠です。
システム的な守りと、人間によるチェック。
この二段構えが、会社の大切な資産を守る鍵となります。
まとめ
社長を装った詐欺メールは、人間の「真面目さ」や「責任感」を悪用する卑劣な犯罪です。
経験の浅いうちは、上層部からの指示に疑問を持つことは勇気がいるかもしれません。
しかし、違和感を感じたときに一歩踏みとどまって確認することこそが、
会社を守るプロフェッショナルとしての正しい行動です。
「おかしいな」と思ったら、まずは信頼できる上司や先輩に相談しましょう。
その一言が、数千万円の被害を防ぐ最大の防波堤になります。
今回の記事を参考に、日々のメールチェックに少しだけ「疑う目」を持ってみてください。
もし、現在の社内ルールで「緊急時の連絡方法」が曖昧な場合は、
この機会にチーム内で「もし社長から急ぎのメールが来たらどうするか」を
話し合ってみてはいかがでしょうか。
どなたかのお役に立てば幸いです。
それではまたー!






























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